ご挨拶

「第18回日本病理学会カンファレンス2022」開催にあたって

2022年7月29-30日に仙台市の東北大学医学部星陵オーディトリウムにて第18回日本病理学会カンファレンスを開催いたします。日本病理学会カンファレンスは病理学会が主催する学術集会として、春の総会、秋の特別総会とともに重要な位置を占める集会であり、病理学会員に最先端の研究に触れる機会を提供し、病理学研究の振興を図るものです。

今回のテーマは「ゲノム病理学と精密医療 病理学が目指すものとは?」とさせていただきました。ゲノムと精密医療は今日の医学・医療で最もクローズアップされるキーワードになっています。病理学においても病態解明の手段としてゲノム解析が取り入れられるようになり、その成果が日々報告されています。特に、腫瘍病理学ではこれまでの病理組織学的な疾患分類からゲノム異常に基づく分類へのシフトが一部では進みつつあり、病理診断の意義が問われることが時には起こっています。さらに、それらゲノム異常の情報は精密医療につながっていき、効果的な医療を実現できるとされています。このような研究、医療のうねりの中、本カンファレンスでは、改めて、ゲノムの本質、ゲノム情報の解釈、病理学におけるゲノム解析、ゲノム異常と病態との関係、エピゲノムの意義、精密医療の実現へのハードル、病理情報の新たなマイニングの可能性、疾患モデルとしてのオルガノイドの有用性、疾患を理解するための新たな発想等を題材に、ゲノムと精密医療に対し病理学研究が向かう方向を皆で考えることができればと思います。このような考えのもと、今回、10人の最先端研究者に講演を依頼いたしました。一人でも多くの病理学会員がこれら最先端の研究者と直に討論することで研究の醍醐味を堪能し、自らの病理学研究の展開に資する情報を得ることを期待したいと思います。

世話人古川 徹東北大学大学院医学系研究科病態病理学分野教授